エアコンの取り付けに関して、大家さんに許可をとってからやりますね」
僕がそう言うと、三人は一様に驚いた顔をした。
なんだ? そんなに驚くようなことか? この間まで高校生だった僕には、エアコンなんて高級品を買うお金もないし、そもそも設置できるスペースもない。
それに、僕は一人暮らしだ。実家で暮らしていた頃と違って、夏や冬でも部屋を締め切って過ごすことができるのだ。
このアパートにはベランダがないけれど、窓を開けることで風を通すこともできるし……まぁなんとかなるだろう。
しかし、僕のその言葉を聞いた三人のうち、まず最初に口を開いたのは意外にも天海さんだ。
彼女は、まるで信じられないといった様子で、 僕に尋ねてきた。
どうして、そこまでしてくれるのかって。
だってそれは……友達だからじゃないかな。
もちろん、僕なんかが役に立てるとは思えないけどさ。
それでも、僕にできることならなんでもしたいと思ったんだ。
すると天海さんは、一瞬だけ呆けたような表情をして、それから俯いてしまった。
そして次に顔を上げたときにはもうエアコンの取り付けは終わっていました。どうやら、僕たちはとんでもない思い違いをしていたようです。
エアコンの取り付けが終わったあと、僕たち四人はお昼ご飯を食べに行った。
今日は日曜日なので、いつもより少し遅めのお昼になる。
天海さんの希望で向かった先は、僕たちが初めて会った場所――あのファミレスだった。
天海さん曰く、あの日以来、一度も足を運んでいないらしい。
それどころか、最近は学校に行くことも少なくなったとか。
あのあと、天海さんは自分のことをたくさん話してくれた。
両親と離れてエアコンの取り付け業者が気になった。一人で暮らしている僕を見て親近感を抱いた。
そして何よりも、僕との会話の中で、自分の気持ちをはっきりさせることができたという。
彼女の中で渦巻いていたものが晴れたようで、僕としても安心した。
その後、僕たちは食事を終えたあと解散することになった。
僕はエアコン工事業者になろうと思った。バイトを探せばいいだけだから、すぐに見つかると思う。
それから一週間後。
僕はまだエアコン工事のアルバイトを続けていた。
天海さんからのお願いを聞いて、エアコンの設置を行う仕事を始めたわけだけど…… 正直、これがかなりきつい。
最初の一ヶ月くらいはエアコンの事だけだった。
エアコンの取り付けに関して大家さんに許可をとった